会社のロゴデザインに鳥を取り入れている事例とは?


会社のロゴデザインにおいては、会社のプラスイメージになるようなものを描いたロゴマークが多数見受けられます。ここでは、人気のロゴモチーフのひとつである「鳥」に焦点をあてて、鳥を使ったロゴデザインの魅力に迫ります。

鳥のモチーフを取り入れたどのようなデザインのロゴがあるかを知り、ロゴマークを作成する際の参考にしてください。

ロゴに使われる鳥のイメージ

鳥のモチーフは、翼があることから飛躍や発展のイメージを喚起しやすいモチーフです。また、ナチュラルでやわらかなイメージがあるのも、鳥モチーフならではの特徴です。鳥は優しい歌声を持っていることから、癒しやリラックスを想起する人もいます。

ロゴデザインは、どちらかというと「静」の要素を中心に構成されます。そんなロゴデザインに鳥を取り入れると、一気に動きが出て、ロゴの表情が豊かになります。また、木に止まっている鳥のモチーフを使うと、止まり木に止まる鳥が安らぎを求める姿を生かしたロゴになり、現代人にとって必要な癒しをもたらすロゴというプラスのイメージを抱いてもらいやすくなります。

ロゴマークの鳥には、動きがあって前向きなイメージを伴う鳥、静かで癒しのイメージを持つ鳥の大きく分けて2つのパターンがあると知った上で、鳥モチーフのロゴデザインを見ると、ロゴの持つ特性に対する理解がさらに深まるでしょう。

ネスレの鳥のロゴ

コーヒーやチョコレート、シリアルのメーカーとして知られるネスレは、鳥のロゴを使った有名企業のひとつです。ネスレの会社のロゴは、鳥の巣で親鳥がひな鳥たちをあたたかく見守る美しい姿を描いたものです。この鳥のロゴマークが誕生したのは、1868年に遡ります。

ネスレの創業者にあたるアンリ・ネスレがデザインしました。アンリ・ネスレ自身が開発したシリアルを偽物から守ろうという意思が込められたロゴマークです。なお、社名のネスレは、ドイツ語では鳥の巣を意味する言葉です。

最初のロゴは、鳥の巣の絵だけを描いたものでした。その後、NESTLEの社名ロゴと鳥の絵を組み合わせたロゴが誕生し、よりモダンでミニマルなデザインへと変遷を遂げています。現在のネスレのロゴは、極めてシンプルな線でロゴが描かれているところ、線にまるみがあってやさしい雰囲気が感じられるところが特徴です。

ハトのマークを使ったイトーヨーカドーのロゴ

スーパー大手のイトーヨーカドーの会社ロゴは、平和の象徴であるハトが描かれたデザインです。

戦前からあった用品店の「羊華堂」が戦後の1946年に営業を再開、1948年に「ヨーカ堂」として株式会社化したのをきっかけに誕生したのが、ハトをモチーフにしたロゴマークでした。

初期のロゴマークは、平和の象徴であるハトが幸福のシンボルである四つ葉のクローバーをくわえて飛んでいるという詩的な雰囲気のイラストでした。その後、「イトーヨーカドー」への店名変更に伴なって、ロゴマークも刷新されました。

現在のロゴデザインには、四つ葉のクローバーは含まれず、白いハトが大きく羽ばたく様子が中央に描かれ、周囲に赤と青の明るい色味が配されています。

日本的な美を感じさせる鶴を描いたJALのロゴ

鳥を使ったロゴと言ったら、日本航空のロゴも有名です。日本らしい鶴が羽を広げて舞う様子を描いたロゴは、鶴丸の愛称で親しまれています。赤と白というシンプルで印象深い二色を使った日の丸に近いロゴであるところも、JALのロゴが覚えやすい理由となっています。

鶴丸は、日本航空が航空機を通して届けたいと考えているサービス精神の象徴的な存在です。古くから受け継がれてきた繊細で気高い日本の心と共に、急速に発展する国際社会のなかで成長や挑戦を諦めない日本のパイオニアスピリットや品格を表しています。

美しい鶴のデザインに込められた熱い思いに触れて、空の世界に対するロマンを思い描いてみるのもよいかもしれません。

鷲のマークの大正製薬

テレビコマーシャルでも見かける機会が多い大正製薬の鷲のマークは、鷲が特徴的な形の鳥であり、誰が見てもパッと見て鷲だと分かりやすいという理由で選ばれました。当初はラジオでも広告をしていたため、音で聞いても分かりやすいところも、鷲が選ばれた理由だったと言われています。

また、鷲は、力強く大空に羽ばたき、長距離を飛ぶ鳥であることから、世界に羽ばたいていこうという思いも込めて、鷲が会社のロゴデザインに選ばれました。会社のロゴに鳥を選ぶ背景には、会社の今後の発展を願う気持ちが込められていることが多いんですね。

鷲が中央にいるというロゴデザインのコンセプトは守りつつも、写実的だった描写がデフォルメされた描写になるといった変更は加えられています。

鳩サブレーで知られる豊島屋のロゴ

鎌倉土産として有名な鳩サブレーを作っている豊島屋のロゴは、鳩サブレーをモチーフにしています。全国的に名の知られた看板商品をロゴにすることで、「あ、この会社が鳩サブレーの会社なんだな」と社名を覚えてもらうきっかけにもなっています。

豊島屋のサブレーの形が鳩の形になったのは、鎌倉にある鶴岡八幡宮に鳩が多かったことから、と言われています。サブレーの形としても、ロゴマークとしても取り入れられた鳩は、鎌倉に暮らす人にとって、とても馴染み深い存在であることから、豊島屋に対してもより親しみや愛着を感じるようになったのでしょう。

鳥の翼を取り入れたクールな印象のNIKEのロゴ

最後に紹介するのは、スニーカーブランドとして圧倒的な人気を誇るNIKEのロゴです。NIKEのロゴは、ここまでに紹介してきたロゴとは異なり、一目見て鳥がロゴに使われていることが分かるタイプのロゴではありません。

NIKEのアルファベットのロゴの下に、チェックマークのような右上がりの線が描かれていて、この部分が鳥の翼を表しています。今にも飛びあがれそうな、軽やかで動きやすいスニーカーを作るブランドらしいセンスが光るおしゃれなロゴと言えるでしょう。

鳥そのものの姿ではなく、翼の部分だけを使うことで、飛翔のイメージがさらに強調されているのが、NIKEのロゴの魅力です。ロゴデザインのセンスの良さは、スニーカーのデザインのセンスの良さにも通じるところがありますよね。

鳥を使ったロゴデザインは、実にたくさんある!

ロゴデザインに用いるモチーフのなかで、鳥は人気のあるモチーフのひとつです。癒しのイメージに飛翔のイメージと、静と動の両方のプラスイメージを併せ持つ鳥は、多様な業界のロゴモチーフに使われています。鳥のロゴデザインで有名な会社としては、ネスレ、イトーヨーカドー、JAL、大正製薬、豊島屋があります。

誕生以来、基本のコンセプトは守りながらも、デザインに変更を加えながら現在に至っているというロゴマークが多いです。