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花より先に実のなるような

昔の日記から

最近耳にした高村光太郎の詩の一節にこんな言葉がある。

 花より先に実のなるやうな

 種子より先に芽の出るやうな

 夏から春のすぐ来るやうな

 そんな理屈に合はない不自然を

 どうかしないでゐて下さい


このフレーズ、今、僕らはかみ締めなければならないと思う。

金融工学で信用を無理やり創造し、他人の金に投資して利益を得ることに

なんの疑問も持たず、理屈が合うから間違いないという合理主義の追求で

事実を捻じ曲げ、一発逆転の発想でゲームを続けた結果、今の混迷の時代

を招いた。

花より先に実を求め、冬の時代はいやだからと春を求めるような僕らの欲望。

とはいえ、僕もその欲望に負ける一人の人間だけど、この詩を耳にした時に

「あー、このままじゃいけない」って思えたこと、まだ間に合うと信じる。

コツコツ、一歩ずつ信じた道を進みたい。
高村の詩には「僕の後ろに道はできる」で有名な「道程」もあるな!


  「人に」
      高村光太郎「智恵子抄」より

いやなんです
あなたの行ってしまふのが・・・

花より先に実のなるやうな
種子より先に芽の出るやうな
夏から春のすぐ来るやうな
そんな理屈に合はない不自然を
どうかしないでゐて下さい
型のやうな旦那さまと
まるい字をかくそのあなたと
かう考へてさへなぜか私は泣かれます
小鳥のやうに臆病で
大風のやうにわがままな
あなたがお嫁にゆくなんて
いやなんです
あなたの行ってしまふのが・・・

なぜさうたやすく
さあ何といいませう・・・まあ言はば
その身を売る氣になれるんでせう
あなたはその身を売るんです
一人の世界から
万人の世界へ
そして男に負けて
ああ何といふ醜悪事でせう
まるでさう
チシアンの描いた絵が
鶴巻町へ買物に出るのです
私は淋しい かなしい
何といふ氣はないけれど
ちやうどあなたの下すつた
あのグロキシニアの
大きな花の腐つてゆくのを見る様な
空を旅してゆく鳥の
ゆくへをぢつとみてゐる様な
浪の砕けるあの悲しい自棄のこころ
はかない 淋しい 焼けつく様な
—-それでも恋とはちがひます
サンタマリア
ちがひます ちがひます
何がどうとはもとより知らねど
いやなんです
あなたのいつてしまふのが—-
おまけにお嫁にゆくなんて
よその男のこころのままになるなんて